基本情報
原産地:中国(長芋、銀杏芋、つくねいも)、日本(自然薯) / 分類:ヤマノイモ科ヤマノイモ属 / 学名: Dioscorea japonica (日本のヤム)/ 別名:ヌカゴ / 英名:PROPAGULE / 種まき時期:4月~ / 発芽適温: 約20℃ / 苗の植え付け時期: 5月~/ 収穫時期:10月~11月(蔓が枯れて来た頃)
栽培のポイント
むかごを収穫するにはヤマノイモを栽培する /蔓の葉が黄色くなって触ると落ちる程度になってから収穫 / 地中のヤマノイモ蔓が枯れた後に収穫する / ヤマノイモを栽培するにはむかごを植え付けるか種芋を植え付ける / 波板もしくはパイプ栽培にすればまっすぐ育つ
歴史・由来
「むかご」はヤマノイモの蔓の葉の付け根にできる小粒の芋ですが、ヤマノイモとはナガイモや自然薯の総称した呼び名です。ヤマノイモはアジア、アフリカなど熱帯、亜熱帯地方に広く分布し、世界では600種以上あります。ナガイモには「長芋」、「銀杏芋(いちょういも)」、「つくね芋」といった品種がありますが、いずれも中国の雲南地方が原産で日本には平安時代に伝えられたといわれています。一方、自然薯は日本に元々自生するいもで「出雲国風土記」、「日本書紀」や「正倉院文書」には「薯蕷(しょよ)」としての記述があり、これが自然薯と考えらています。栄養豊富で稀少な自然薯は古来より珍重され、芥川龍之介の小説「芋粥」では主人公が生涯一度は腹一杯食べてみたい食材として登場しています。
ヤマノイモなどの蔓にできる実
「むかご(零余子)」は自然薯などヤマノイモにできる蔓の葉の付け根の部分、葉腋(ようえき)にできる小さな粒の芋です。直径5~10mm程度で芋と呼ぶには小さいですが、1本の蔓から100個程度採れる事もある大量繁殖の芋です。1粒1粒が種芋としての役割を果たす事ができ、土に埋めれば春には芽が出てきます。「むかご」から育てた芋は通常3年ほどで収穫できますが、その間も蔓を伸ばすので同様に「むかご」を採る事ができます。自然界では1本の蔓から100個も「むかご」ができたとしても、そのほとんどは地表に落ちても芽を出さず土に還ってしまいます。正確な数はわかりませんが、100個の内のほんのわずかしか芽を出して芋になる事ができません。自然の山の中ではヤマノイモが育っていますが、家庭菜園で栽培する場合はちゃんと「むかご」を土に埋めて栽培しなければなりません。土の中に埋めて育てれば発芽率は格段に上がり、ヤマノイモを栽培する事ができます。
甘柿の木に蔓が絡まる
「むかご(零余子)」は元は土の中の自然薯の蔓が地表で伸びた際にできるものです。日当たりの良い場所で成長する事は難しく、ほとんど日陰の場所で生育します。蔓が伸びなければ成長できませんので、必然的に何か絡む植物がなければなりません。となると何かの木の下の日陰の土中で芋が成長し、蔓が木に絡まりながら葉の付け根に「むかご」ができる事になります。「ふじやま」さんの畑では甘柿の木の下にヤマノイモができたようで、木に蔓が絡まっていました。実はヤマノイモを別に栽培したわけではないのですが、いつの間にか勝手にできていたという感じです。最初は蔓が絡まっている事にも気づかず、「むかご」にも気づかなかったのですが、丁度甘柿の収穫時期で柿の木を見ていたら見つけたというわけです。こうして偶然にも「むかご」を見つけたのですが、どうしてヤマノイモが生育しているのか正直分かりませんでした。「ふじやま」さんの菜園は結構色んな植物が勝手に生えているので、本物の天然の自然薯ができたのかもしれません。
「むかご」の収穫時期
「むかご(零余子)」の収穫時期は9月下旬から11月初旬ですが、旬の時期は10月から11月です。「ふじやま」さんの菜園では10月下旬に柿の木に絡まった蔓から「むかご」を収穫しましたが、やはり旬だけあって良く育った艶のあるものばかりでした。1本の蔓でしたので収穫できたのはお椀1杯分ほどでしたが、栄養満点と名高いヤマノイモの実である「むかご」は本当に貴重です。自宅の畑で勝手に生えたので栽培物か天然物か微妙なのですが、何より鮮度は最高です。今回は甘柿の収穫の際に偶然見つけたので旬の時期を意識してはいませんでしたが、蔓の葉が黄色くなった頃が収穫の適期のようです。葉が黄色くなり蔓が枯れてしまえば後は「むかご」も地表に落ちてしまいます。そうなる前に収穫すれば十分に成熟した旬の「むかご」を食べる事ができます。
「むかご」の調理法
自然薯などヤマノイモの小芋である「むかご」には色々な調理法があります。素材の味が一番良くわかる「塩茹で」、塩・コショウをまぶした「素揚げ」、サクサクの「かき揚げ」、「バター炒め」、「茶碗蒸し」、他にも変り種で「むかごカレー」、「むかごグラタン」などいろんな料理に活用できます。「むかご」は栄養満点で滋養強壮にも良い食材ですが、味も淡白でクセもないのでどんな料理にも合う事ができるのです。
定番の「むかご御飯」
「むかご」料理には「塩茹で」、「かきあげ」、「素揚げ」、「汁物」、「炊き込みご飯」など色々ありますが、やはり一番のおすすめは「むかごの炊き込み御飯」です。作り方は簡単で、炊き込みご飯の要領で「むかご」を調味料と米と一緒に炊くだけです。まずは「むかご」を水洗いして綺麗にします。皮は剥かなくても全然構いませんが、どうしても剥きたければすり鉢で擂れば皮が剥けます。皮は非常に薄いので大抵の場合は剥かずに炊きますので気にする必要はありません。次に、いつも白飯を炊く要領で洗った米に応分の水を入れて炊飯器にセットします。そして調味料をお好みに応じていれるのですが、調味料といっても、塩、しょうゆ、みりん、昆布、酒などを適量入れます。調味料は塩だけでも良いですし、塩と酒を入れても構いません。最後に「むかご」を御飯の上に投入して炊き込みスタートです。後はじっくりと炊き上がるのを待つだけですが、炊き上がったら十分に御飯を混ぜて「むかご」を均等に行き渡るようにすれば完成です。
早速、「むかご御飯」を食べてみましたが、とっても美味しく出来上がりました。「むかご」自体はそれほど味はありませんが、ホクホクと食感も良くて御飯との相性もバッチリです。秋の味覚とでもいうのでしょうか、和食料理屋などでは締めのご飯として登場する事もある人気料理です。
「むかご」の保存方法
ヤマノイモの実である「むかご」は基本的にはヤマノイモの保存方法と同じです。常温でそのままでも保存可能ですが、次第に乾燥して味が落ちてしまいます。「むかご」を種芋として翌年の春に植え付ける場合は逆に常温で乾燥気味に保存した方が良いのですが、食用とする場合は冷蔵又は冷凍保存した方が良いです。冷蔵する場合は湿らせたキッチンペーパーなどに包んで袋に入れて密封して、冷蔵庫の野菜室に入れます。この場合は2週間位は保存可能です。又、冷凍する場合は洗って水気を切って袋に入れて密封して冷凍庫に入れれば1ヶ月位は保存可能です。
コメント
山芋のさいばいをしたいのですがむかごを種イモにしたいと思います。何か知恵がありましたらお教えください。むかごからたねいもを作りたいのです
コメントありがとうございます。返事が遅くなりまして申し訳ありません。早速ですが、本記事のむかごと山芋は菜園にて自然発生したものを紹介しています。ですから残念ながら栽培方法についてはそれほど詳しくはございません。しかし、以前Dash村で自然薯栽培を放送しており、畝を作って10㎝間隔位でむかごを植え付けてまず種芋を育てていたのを覚えています。藁や落ち葉などでマルチングをして蔓が絡みつく様にネットを張って栽培していました。最初は種芋作りなので間隔は狭くても良く、種芋ができたらパイプなどで栽培していました。ふじやまさんは別の種類の空中芋なるエアーポテトなるものも育てた事がありますが、基本的な栽培方法はむかごと同じです。今後山芋の栽培の予定があれば詳しく紹介したいと思っていますが、現時点ではこれ以上の説明は難しいので他サイトや文献を参照して下さる様お願いします。