栽培の基本 Basic knowledge about vegetable gardening
野菜の種類、「○○科」を知る
野菜作りの基本でまず大事なのが野菜の種類、「科」を知る事です。野菜の種類はたくさんありますが、実はそれぞれの野菜は必ず何科の野菜というように必ず植物学上の科に分類されています。
例えば、じゃがいも、トマト、ピーマン、なすは全て「ナス科」の野菜で同じ科に属しています。また、だいこん、キャベツ、白菜、ブロッコリーは全て「アブラナ科」の野菜です。形や色が似ても似つかない野菜も実は同じ科の野菜だという事があります。
野菜の種類、とりわけ「どの野菜が何科に属しているか」を把握しておく事は、野菜作りには極めて重要です。それは野菜作りの大きな問題となるのが「連作障害」だからです。「連作障害」とは畑の同じ場所に同じ科の野菜を続けて作る事によって、病虫害や生育障害が発生して良く育たなくなる事です。
例えば、じゃがいもを育てた後に同じ場所でトマトを育てると、病気で株が枯れてしまったり、実がならなくなってしまう事もあります。
この「連作障害」を避けるためには同じ科の野菜を育てていない別の場所で育てる必要があります。野菜作りではこうした「連作障害」を避けるには野菜の種類、「科」をしっかりと把握していなければならないのです。
「土づくり」は「野菜作り」
野菜の種類や科を把握した上で、次に重要なのは良い「土づくり」です。全ての野菜にいえる事ですが、良い野菜は良い土から生まれます。野菜にとって土は寝床であり、成長の場です。
良い土は「水はけ」、「通気性」、「酸度」、「肥料」、「病原菌」の状態に左右されます。「水はけ」と「通気性」が良ければ、野菜の根が水分と空気を効率よく吸収できます。
土の「酸度」は生育に影響し、多くの野菜は酸性に傾きすぎた土では生育障害が出てしまいます。
さらに、土には野菜の欠かせない「肥料」が多く必要で、野菜の種類に合わせた適切な肥料分が必要です。
そして、土が「病原菌」を含んでいなければ野菜が健康的に育ちます。
これらの条件を備えた「土づくり」ができれば「野菜づくり」の半分は成功したも同じです。
適切な「肥料」
野菜の生育には「肥料」が欠かせませんが、多ければ良いというわけではありません。野菜の種類ごとに適切な肥料があります。野菜の生育には「窒素」、「リン酸」、「カリウム」の3大要素が必要です。土には元々こうした要素が含まれていますが、野菜作りをしている内に欠乏していきます。
野菜作りをする度に「肥料」を必ず与えなければなりません。「肥料」は「有機質肥料」と「化学肥料」に大別されますが、用途に応じて適切に使用します。
「有機質肥料」は自然界で生まれた物を肥料として使うもので、「牛糞堆肥」、「鶏糞」等があります。即効性はありませんが、土をフカフカにして健康的に保つ土壌改良効果が期待できます。
一方、「化学肥料」は科学的に肥料成分を合成して作り出したもので、「化成肥料」や「無機配合肥料」などがあります。即効性が高く、肥料分も高めで、追肥や短期栽培に適しています。どの肥料を使うかは同じ野菜でも栽培時期により異なり、肥料の与え方は重要です。
日光
野菜作りに欠かせないのが「日光」です。野菜は基本的に日光がないと育ちません。野菜も植物も同様ですが、葉に日光を吸収して光合成を行って成長します。野菜の種類には日当たりを好むもの、多少でも日当たりがあれば育つもの、日陰でも育つもの、全く日が当たらなくても育つものがあります。
トマト、とうもろこし、なすなどは日当たりを好みますが、ほうれん草、ねぎ、しょうがなどは多少日当たりが悪くても育ちます。また、ふきやみょうがなどは木の下など逆に日陰の方が良く育ちます。一方、うどやもやしなどは地下や室内など暗い場所でも育つ野菜もあります。しかし、野菜の大半は日光がないと成長せず、野菜作りにおいては日当たりを考えて栽培する必要があります。
生育温度
野菜作りでは「生育温度」が重要です。野菜の成長には適正温度が必要で、高すぎても低すぎても良く育ちません。種まきをする場合にも「発芽温度」があり、各野菜の種の「発芽温度」に達しなければ芽が出てこないのです。早く収穫したいと種を早まきしたところで適正温度でなければ、発芽せずに無駄になってしまいます。また、発芽したとしても気温が一向に上がらなければいつまでたっても成長しません。逆に、気温が高すぎると実がつかなかったり、とうが立ったりして良い野菜ができません。野菜づくりには時期がありますが、その時期とは温度、気温に関係しているのです。
水遣り
野菜作りでは「水遣り」は大変重要です。特に「種まき」や「苗を植え付け」たときなどは生育を助ける為に「水遣り」はかかせません。野菜の成長には「水分」、「養分」、「酸素」、「日光」が必要です。「水遣り」をする事で水分を補給し、土中の酸素を入替え、養分を吸収しやすくします。
しかし、通常は畑であれば土中に水分は含んでいるので、「種まき」、「苗の植え付け」と「極度の乾燥状態」でなければ「水遣り」をする必要はありません。夏の炎天下で畑の土がカラカラになるような状態では「水遣り」は必要ですが、普段は自然の降雨で野菜の生育に必要な土壌の水分は十分保たれているわけです。
逆に、「水遣り」をし過ぎたり梅雨の長雨で土壌の過湿状態が続くと、生育に悪影響が出てしまいます。根腐れ、酸素欠乏、病気の発生となる確率が高くなります。
種
野菜づくりでは種の選び方、種の性質、種まきなど種に関する正しい知識と扱いが必要です。家庭菜園では苗を直接植えつける方が簡単ですが、大根や人参など苗の植え付けに適さない野菜は「種まき」しなければなりません。トマトやピーマンなど種から育てるには専門的知識や道具が必要なので苗を購入した方が良いのですが、きゅうり、えだまめ、トウモロコシなどは種から育てても十分成長します。きゅうりや枝豆等は園芸店で苗を販売していますが、コストを考えれば種蒔きした方がお得です。種まきをしっかりマスターすれば、家庭菜園の目的の一つである節約生活に一歩近づきます。種代だけ考えれば、大根は1本数円で作る事ができるのです。