基本情報
分類:アブラナ科アブラナ属 / 学名: Brassica oleracea var. italica / 英名:Broccoli / 原産地:地中海沿岸 / 主産地:北海道、愛知県、埼玉県他 / 品種:早生緑、シャスター、緑嶺など / 発芽適温:20~25℃ / 生育適温:15~20℃ / 種まき時期:2~3月、7月~9月上旬 / 苗の植え付け時期:3月中旬~4月中旬、8月中旬~9月中旬 / 収穫:6月~、10月~
栽培のポイント
- 涼しさには強いが暑さには弱いので春まきより夏まきがおすすめ
- 夏まきから秋冬に収穫する方が害虫被害が少なくなる
- 水やりは夕方にやると徒長しやすいので朝に行う
- 種まきは隠れる程度に薄く覆土する
- 防虫対策に寒冷紗や虫よけネットの使用がオススメ
- 蕾が黄色くなると味が落ちるのでその前に収穫する
由来・歴史
地中海沿岸原産のブロッコリーはキャベツの変種で、古代ローマでは既に食用とされていました。15~16世紀になってようやく栽培が盛んになり、17世紀頃にイタリアからヨーロッパへ広まり、日本へは明治時代に伝わりました。日本で本格的な栽培が始まったのは第二次大戦後で、冷蔵・保存・輸送技術の発達と共に1980年代に急激に普及しました。
頂花蕾(ちょうからい)と側花蕾(そくからい)
- ブロッコリーには頂花蕾(ちょうからい)と側花蕾(そくからい)があります
ブロッコリーには頂花蕾(ちょうからい)と側花蕾(そくからい)があります。頂花蕾とはブロッコリーを栽培する過程で主茎の頂部にできる花の蕾の集合体である花蕾を指します。
- 側花蕾(そくからい)は脇芽(わきめ)と呼ばれたくさん収穫できます
一方、側花蕾とは別名脇芽ともいい、頂花蕾を収穫した後に主茎の周りの側枝にできる小さな花蕾の事です。頂花蕾は1株につき1つしかできませんが、側花蕾は1株に側枝の数だけたくさんできます。頂花蕾は直径が10~15㎝になるまでは収穫を待った方が良いですが、側花蕾は直径が数センチ程度になれば十分収穫できます。
ブロッコリーの利点は何といっても側花蕾を収穫できる事にあります。他のアブラナ科のキャベツやカリフラワーは1株につき1個しか収穫できませんが、ブロッコリーは1株で頂花蕾1個に加えて側花蕾を幾つも収穫できます。しかも、ブロッコリーの場合は頂花蕾を収穫後、側花蕾を何度も収穫できるので、長期間に渡って収穫できるという利点があります。栽培スペースが広くはない家庭菜園では同じ株で長い期間何度も収穫できるというのは非常に助かります。
ブロッコリーとカリフラワーの違いとは
ブロッコリーとカリフラワーは同じアブラナ科でキャベツの仲間です。ブロッコリーはキャベツの原種が交配を繰り返した事で誕生しましたが、カリフラワーはブロッコリーが突然変異して花蕾が白く変色して生まれました。いずれもキャベツの仲間には変わりありませんが、ブロッコリーは頂花蕾に加えて側花蕾も収穫できますが、カリフラワーは頂花蕾のみの収穫となります。
種まきの方法‐ポットとセルトレイ
- 種まきにはポット播きとセルトレイに播く方法があります
ブロッコリーの種まきには直播きだけてなく、ポットやトレイにまく方法があります。
- ポット播きの場合は種を複数播いて最後に1本立ちにします
ポットまきの場合はポットに培養土や種まき用土を入れ、1ポットにつき3~5粒ほどまきます。指で穴を浅めに空けて1粒ずつ種を入れて覆土します。発芽後に3本まで間引きし、本葉が2枚になったら2本に間引き、本葉が4枚になったら1本立ちにします。その後本葉5~6枚になれば植え付けの適期になります。
- セルトレイの場合は1穴に1粒ずつ種を播きます
一方、トレイの場合は穴が連結して幾つも種をまくことができるのですが、1穴が小さいのでポットの様に大きく成長させる事はできません。トレイの場合は1箇所ずつ同じように穴をあけて1粒ずつ種をまきます。サイズにもよりますがセルトレイの場合は1穴が2~3㎝四方で種が発芽しても本葉が2枚程度までしか育ちません。
セルトレイの場合は本葉が2枚程度まで成長してもうこれ以上育たない段階まできたらポットに植え替える様にします。ポットに植え替えて本葉が5~6枚まで育てば植え付け適期となります。
苗選びの基準‐良い苗の見つけ方
- 良い苗を選ぶ事が栽培成功の条件です
- 苗半作とは栽培の成功の半分は苗の良し悪しで決まるという意味
- 良い苗とは濃厚緑色、茎が太くて徒長しておらず、本葉4~6枚の苗
ブロッコリーは種まきからでも苗を購入して植え付けても栽培できます。初心者の場合は園芸店などで苗を購入すれば簡単に植え付けできるのでお勧めですが、苗半作といわれる様に、良い苗を選ぶ事が良いブロッコリーを作る条件の一つです。
ちなみに苗半作とは栽培の成功の半分は苗の良し悪しによって決まるという意味ですが、園芸店などで苗を購入する際には良い苗の選び方を知っておかなければなりません。
そこでブロッコリーの苗選びの基準ですが、濃厚な緑色、茎が太くて徒長しておらず、害虫被害がなく、本葉が4~6枚といったものです。園芸店では沢山の苗が並んでいて販売している以上は基本的に良い苗を販売しているのが前提ですが、数ある苗の中にも成長差があり、又枯れかかっていたり害虫被害がある苗もあります。購入の段階でそれらを見極めて数ある苗の中からできるだけ良い苗を購入しましょう。
ブロッコリーの軟腐病(なんぷびょう)
- 軟腐病は治療困難なので発生したら早急に除去します
- 除去した部分は伝染を防ぐために菜園外にて処分します
ブロッコリーに発生する病気の一つが「軟腐病」です。軟腐病は別名白腐病(しろぐされびょう)、腐敗病とも呼ばれ、細菌が繁殖すると腐敗して溶けた様な症状が発生します。
軟腐病は薬剤以外の治療は困難で、細菌性の病気なので症状が発生すると株全体だけでなく他の株にも拡大する可能性があります。症状が発生したら早めに発生部位を切り取って処分するか、株全体に進行している場合は株ごと抜き取って菜園外にて処分します。軟腐病は6~10月の高温多湿の条件下で発生しやすくなるので、土壌改善や高畝にして水捌けに十分注意します。
ブロッコリーの害虫被害
- 野菜栽培では害虫被害をいかに少なくできるかが課題
「ブロッコリー」に限らず野菜にとっては害虫の被害をいかに少なくできるかは重要な課題です。どれだけ丁寧に土づくりをしてもどれだけ良い苗を作っても、野菜が害虫の被害にあってしまっては元も子もありません。害虫はどれだけこまめに見つけても次から次へと現れます。「ふじやま」さんの菜園でも「ブロッコリー」や「キャベツ」が何度も被害に会っています。
- 害虫を手作業で完全に駆除するのは不可能
農薬を使用しない家庭菜園では害虫を手作業で駆除するか、害虫が侵入しない様に防虫ネットの使用が必須となるのですが、栽培する数が多かったり区画が広いとネットを張るのも大変です。害虫を手作業で完璧に駆除するというのは不可能です。
- 幼苗の状態で害虫被害は致命的
一番困るのはまだ小さい苗の状態で害虫の被害に会う事で、苗が小さいので被害の影響が深刻です。最悪の場合は苗がまるで台風で壊れて骨組みだけになった傘の様に筋だけになる事もあります。筋だけになってしまってはもはや成長は見込めませんので、諦めるしかありません。
ブロッコリーの種まき方法
7月下旬に菜園にてブロッコリーの種を直播きしました。種はホームセンターや園芸店でももちろん購入できるのですが、今回はたまたま機会があってネットで購入しました。ブロッコリーとだけ表示されていて品種は不明ですが、値段は1mlで百数十円でした。
- 畝に棒を押し当てて溝に一定の間隔で種まきするのが筋蒔き
種まきは畝を作って畝の上に支柱を押し当てて筋を作り、種を一定の間隔で筋蒔きしていきます。ブロッコリーを含むアブラナ科の種は非常に小さくて直径が1㎜ほどしかありませんので、種まきはとても細かい作業になります。
- すじ播きしたら成長に応じて徐々に間引きして間隔をとっていきます
株間は最終的には30㎝以上は取りますが、最初の筋蒔きの段階では数センチ程度でも構いません。発芽して成長して行く過程で何回かに分けて間引きし、最終的に株間を確保すれば大丈夫です。数センチ間隔で筋蒔きしたら種が隠れる程度に薄く覆土します。
種まき失敗で苗を購入
畝に直播きした種はすこぶる発芽率が悪く、栽培に十分な数の苗を確保できない為、結局苗を購入して植え付ける事になりました。ホームセンターにてブロッコリーの苗が10株パック398円で販売していました。苗の大きさは単品のポット苗よりは少し小さいのですが、植え付けてしまえばすぐに大きくなります。
苗が成長して収穫間近
植え付けた苗は徐々に成長し、12月下旬にもなると収穫可能な大きさになってきました。最初は種まきからスタートしたブロッコリー栽培ですが、結局苗を購入して植え付けたものが生き残りました。
秋まき春どりのブロッコリー栽培
ブロッコリーを栽培するには秋に種をまいて春に収穫するのがオススメです。これは「ふじやま」さんの菜園がある「温暖地」に関しての事なので、「寒地」や「暖地」ではまた話が違ってきます。しかし、基本的には秋に種をまいて冬を越して春に収穫するというのがこれまでの経験から一番作りやすいと思います。その根拠は幾つかあるのですが、害虫被害が少ない事と直播きができる事が挙げられます。
苗作りの難しさと直播きの時期について
ブロッコリーの種を直播きするのは難易度が高い
ブロッコリーの種をまく適期は温暖地なら初春の2~3月又は夏の7月~9月上旬ですが、2~3月では気温がまだ低いし、7月~9月上旬では気温が高すぎて直播きは難易度が高いです。マルチングをしたりビニール、不織布、寒冷紗などを活用すれば直播きもできない事はありませんが、温度や日差しの管理が難しい為、どちらにしてもトレイやポットでの苗作りが必要になります。
苗作りは「ふじやま」さんも何度も経験しているのですが、園芸店で売っている様な苗に育てる事はかなり難しいです。苗作り自体が難しいだけでなく、苗は作ったら移植しなければなりません。ポット苗を作るにしても立派な苗ができれば良いですが、貧弱な苗だと菜園に植えても無事に根付くとは限りません。
セルトレイでの苗作りは植え付けできる大きさに育てるのは難しい
しかも、セルトレイなど穴が小さい容器で苗を栽培する場合は苗が植え付け可能な大きさに成長するまで複数回植え替えしなければなりません。ブロッコリーは当然移植できますが、まだ小さい苗の段階で移植ばかりするのは負担が大きく、成長の阻害要因になります。
その点、直播きならば1箇所に何粒もまいて間引きをすれば、最終的に残す苗は1度も植え替えをする事もなく、根がそのまま土壌に根付いたまま存分に成長できます。直播きにはこうした利点がありますが、ポットやトレイの様に移動はできません。ポットやトレイなら寒ければ暖かい場所に移動できるし、日差しが強かければ日陰に移動できるし、強風や豪雨が来ても避難できます。しかし、直播きの場合はマルチやネットで保護する事はできますが、その時期の気温や天候に多大な影響を受ける事は間違いありません。
直播きは難しいですが植え替えする手間も負担もない
- 直播きするなら気温を確保できて害虫が少なくなる秋が適しています
ですから、直播きをする場合は可能な限り直播きに適した時期と気候で行う必要があります。秋ならば夏の暑さが和らいで冬の前で暖かいので発芽温度も確保できるし、夏に活動中だった害虫もなりを潜めて少なくなっているというわけです。少なくなっているというのがミソで、秋でも完全にいなくなっているわけではありません。害虫被害を最小限にしようと思うなら冬直前のギリギリまでに苗が十分育つ様に種をまく様にします。「ふじやま」さんの菜園がある「温暖地」では9月ではまだ残暑があるので、10月に入ってから種をまく様にしています。10月というと年内の収穫は無理ですが、本格的に寒くなる12月までには苗がある程度の大きさまで育ち、冬を越して3月から5月位までは収穫できる様になります。
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