鍬(クワ)
通常木製の柄の先に平の鉄や3、4本の鉄製の爪などが付いており、土起こし、土を砕いたり、土寄せ、畝立てなど一連の農作業や家庭菜園で欠かせない道具の一つです。
柄の先が1枚の長方形の板状の平鍬、先が肉厚で広くなっている唐鍬、3本、4本の鉄製の長い爪状になっている備中鍬など様々な種類があります。
平鍬
一枚の長方形の鉄製やステンレス製の板が木製の柄についている農具。
板が刃部になっていて、土を耕したり、均したり、寄せたり、畝を作ったりする作業に使用されます。農家はもとより家庭菜園でも必須の道具です。
大抵の農作業は平鍬で足りてしまいますが、土起こしや土を砕くといった初期の作業は土が固かったり重たかったりするので平鍬では強度が足りないので、スコップ、唐鍬や備中鍬を使用します。
唐鍬(とうくわ・トンガ)
平鍬と同じく木製の柄の先に鉄製の板が取り付けられています。
鉄製の板は平鍬より幅が狭いですが肉厚となっていて、板の先は刃がついています。
肉厚な鉄製の板は重くて鍬全体が丈夫な造りになっていて、打ち下ろして土を起こす作業に向いています。
平鍬でも柔らかい土なら十分起こせますが、これから開墾する様な手を入れてない固い土、山林や休耕畑では丈夫な唐鍬が向いています。
使用方法は柄を持って刃を土に打ち込んだら柄を持ち上げる様に引けば土を起こすことができます。
これを繰り返せば固い土の土地を開墾する事ができます。
備中鍬(びっちゅうぐわ)
備中鍬は柄の先に2~5本の歯を持つ打ち鍬で、田畑を耕したり、土を細かく砕いたり、かき混ぜたり、根菜などを土中から収穫する際に使用します。
刃部が何本にも分かれているので固い土にも深く刺さりやすく、土が付着しにくいので、粘土質の土でも使い易くなっています。3本又は4本の歯の場合が多く、三本鍬、四本鍬とも呼ばれます。
備中鍬の名前の由来は現在の岡山県西部にあたる江戸時代の備中松山藩にまで遡ります。
備中地方は古くから砂鉄の産地で、鉄器の生産が盛んでした。
幕末の儒家・陽明学者で藩の財政改革に関わった山田方谷(1805‐1877)の時代には藩独自の商品として2~5本の歯を持つ「備中鍬」を大々的に売り出しました。
米と同様に大阪の問屋を通さず、江戸に独自の海運ルートで販売するなどして流通を拡大し、「備中鍬」の全国的地位を確立しました。
その「備中鍬」の名は現在でも残っており、農家の間では「びっちゅう」と呼ばれています。
三角ホー
三角ホーは刃がついた三角形の鉄板に長い柄がついた農具で、畑、菜園や庭の除草作業などに使用します。
雑草が生えている土の表面に刃を当てて、土を削り取る様な感じで引けばうまく刈り取れます。
通常柄が長くなっているので立ったままでも作業できます。
シャベルとスコップ
JIS規格(日本工業規格)ではシャベルには足をかけて押せる部分があり、スコップには足をかける部分がないとされます。
しかし、形状の違いの他にも地域によって呼び方が異なる場合があり、西日本ではシャベルは大型、スコップは小型のものを指しますが、東日本ではシャベルは小型、スコップは大型とされています。
同じ地域でも人によって呼び方は様々で、同じ意味で使ったり異なる意味で使ったりします。
両者の定義や違いはさておき、いずれも農作業や家庭菜園では土を掘り起こしたり、耕したりするのに使用します。
休耕畑や畝間の通路などは土が固くなっている事が多く、普通の鍬では中々刃が入りません。
頑丈で足をかけれる部分があるスコップ又はシャベルならば、先がとがっている部分を当てて足をかけて体重をかければ、簡単に土深くまで刺す事ができます。
土深くシャベルを刺したらてこの原理で柄の部分を下に押せば、土を掘り起こす事ができます。
フォーク
フォークといえば食卓で使うスプーンとフォークが思いつくのですが、農具でフォークとは2~6本の長くて広がった歯を持つ農具です。
干草、落ち葉、麦や葡萄などの農産物をすくったり持ち上げたりするために使用します。牧場では牛の餌となる干草を扱うには欠かせない農具です。
農家や家庭菜園でも堆肥を作る為に落ち葉をかき混ぜたり、里芋やさつまいもなどの根菜を収穫するのに便利です。
鎌(カマ)
鎌は草や芝を刈り取るための農具の一種で、刈る草や芝の種類や用途によって様々な種類があります。
一般的には草を刈る為の草刈鎌が多いが、柴や枝を刈る為の鎌もあります。
草にしても柔らかい草、硬い草、茎が太い草などがあり、草に合わせて形状や寸法が異なります。
一般的な草刈鎌は木の柄に三日月形の刃がついており、手前に引いて刈り取ります。
ハサミ
農作業や家庭菜園ではハサミは欠かせません。
剪定バサミ、植木鋏、花鋏など様々な種類があり、剪定や収穫をしたり、紐や肥料袋を切ったりと用途は多岐に渡ります。
日々の収穫作業や紐を切る程度なら普通のハサミでも十分間に合いますが、1本でも切れ味鋭いしっかりとした造りの剪定バサミを持っていると重宝します。
カッター
カッターも農作業や家庭菜園では欠かせない道具の一つです。
ビニールマルチを張った時に端を切ったり、マルチに穴を開けたりするときにも使います。
又、紐を切ったり袋を切ったりと、ハサミと同じ様な作業で必要ですが、1つでも持っていると便利です。
ジョウロ
農作業や家庭菜園ではジョウロは必須の道具です。
ジョウロは水を入れるプラスチックや金属の容器の先が長くなっていて、大抵の場合は先に蓮口や蓮の実をつけて水やりをします。
容器の材質はプラスチックや金属がありますが、プラスチックの方が軽くて扱いやすいです。
容器の大きさは4リットルの水が入る4型とか8リットルの水が入る8型などいろんなサイズがありますが、水を入れた時の重量と取り回しやすさを考えて選んだ方が良いです。
あまり小さなサイズだと軽くて持ち運びに楽ですが、何度も水汲みをしないといけませんし、あまり大きなサイズだと水汲みの回数は減っても持ち運びが大変です。
ジョウロは菜園では毎日でも使うような道具ですから、重量と扱いやすさのバランスを考えて選びましょう。
さて、ジョウロで水遣りをする上で重要な役割を果たすのがハス口、ハスの実です。
ハス口又はハスの実とは容器の長細い部分の先に付けてある無数の穴が開いたキャップの様な部品で通常取り外しが可能です。
ジョウロで水やりをする時は大抵このハス口をつけて行いますが、取り外したままで水やりする事もあります。
しかし、取り外したまま容器の水を直接植物や土に与えるのは水流が強く、植物を傷めたり土を固くしたり流出させてしまう事につながります。
ところがハス口をつければ容器の水は小さな穴から水流の弱いシャワーの様に与える事が出来るため、植物を傷めたり土を固くする事も少なくなります。
更に、ハス口を下向きにして水やりすると水流は強くなりますが、上向きにすれば水流は弱くなります。
種まき直後や幼苗の植え付け時など水を必要とする場面では上向きにして柔らかな水流で水遣りをします。
一輪車
車輪が1つのみの手押し式の運搬用台車。農作業では土や収穫物を運ぶのに使われ、土木作業では資材や道具などを運んだりします。
車輪が1つですが後部の取っ手を握りながら押す事で前に進みます。
1つの車輪のみが接地しているので狭い場所の移動や方向転換も容易で農作業だけでなく土木作業でも幅広く使われています。
包丁
農作業や家庭菜園で使う包丁には野菜収穫包丁があります。
料理で使う包丁と違い、収穫包丁は形状は長方形又は先端が丸みを帯びた長方形になっていて、先端にまで刃がついています。
通常の包丁は刃を押し当てて切るのですが、収穫包丁は押し当てて切るだけでなく先端部分を押し当てて突くような動作で収穫できます。
収穫包丁は料理包丁と比べて頑丈に作られているのが一般的で、キャベツ、レタスや白菜などの根元の硬くて太い茎を切り離して収穫可能です。
バケツ
バケツは水、肥料、道具や収穫した野菜を運ぶなど用途は多岐に及びます。
大きさや材質は様々で、プラスチックや金属のものもあります。
プラスチックの材質のバケツは錆びないので手入れも簡単ですが、野外で放置しておくと日光により徐々に劣化してしまいます。
使用後は物置などで保管するか屋外なら日の当たらない場所に置いておきましょう。
一方、金属製のバケツは頑丈ですが、汚れていたり水分が付いたままだと錆びる原因になります。
使用毎に洗って上下逆さまにして干しておくなど手入れは欠かせません。
日光に晒しておいてもプラスチックほど劣化は進みませんが、いずれにしても陰干しした方が長持ちします。
手袋
農作業や家庭菜園では手袋はなくてはならない道具です。
鍬やスコップを持ったり、草取りをしたり、石灰や肥料を撒いたりとほぼ全ての作業で手袋は必要です。
素手で鍬やスコップを使い続ければマメが出来てしまいますし、素手で草取りをすれば手が泥だらけ傷だらけになってしまいます。
石灰を素手で触ったり鶏糞や牛糞を素手でも持てば手が汚れてしまいます。昔の農家なら素手で作業したかもしれませんが、手を保護する上でも手袋は必要です。
手袋は色んな種類がありますが、まずは軍手が必要です。軍手は汚れやすい事と濡れてしまう事が難点ですが、全ての作業に使える万能選手で、簡単に手を保護してくれます。
次にゴム手袋は軍手の欠点を克服してくれる道具です。
ゴム手袋は何より濡れない事と汚れにくい事が利点です。
鍬やスコップを使って土をいじっていると土が水分を含んでいれば当然濡れてしまいますし汚れます。
しかし、軍手と違ってゴム手袋ならば染みる事もないし汚れもつきにくいです。
長靴
土を相手にする農作業や家庭菜園では長靴はなくてはならない装備です。
作業をすれば必ず足元は汚れるので1足は作業専用の靴、それも長靴を用意しておきましょう。
長靴であれば何でも良いのですが、できれば丈の長いものの方が土が入りにくくて使いやすいです。
又、最近の長靴は足元の部分と足首から上の部分が接ぎ合わせてあるものがありますが、このタイプの長靴は使い続けると接合部分が切れてしまう事があり、耐久性に難があります。
一方、足底、足首、脛の部分まで一体化したゴム長靴は接合部分自体がないので切れる心配もありません。
日々使い続ける事でもちろん全体的には劣化していきますが、接合タイプの長靴よりははるかに長持ちします。
下記の長靴は管理人が使用している商品です。接合部分がないタイプの長靴で耐久性は非常に高いです。購入してから2~3年は経ちますが、まだヒビ一つ入っていません。但し、安全長靴なのでつま先に鉄芯が入っており少し重いです。農作業で鉄芯入りの長靴が必要かといわるかもしれませんが、耕運機を使用したり、石などの重いものを持つ場合やスコップや鍬を誤って足の上に当ててしまうなどのリスクを考えれば準備しておいても宜しいと思います。
土壌酸度計
土壌酸度計は土壌の水素イオン濃度指数、pH(ペーハー)の値を測定する道具です。
pHの値は0~14まであり、7が中性ですが、7以下なら酸性、7以上がアルカリ性です。
野菜の生育には適正な酸度があり、土壌のpHが5.5~6.5の弱酸性が最も野菜が育ちやすいといわれます。
日本の土壌は雨が多い為に酸性に傾きやすく、酸性が強い土壌では野菜の生育が悪くなります。
野菜の作付け前には酸度の計測を行い、必要に応じて石灰等をまいて調整する事が必要です。
管理人も同じタイプの土壌酸土計を持っていますが、故障もなく非常に使いやすいです。電池や薬品は一切不要で土に挿すだけで簡単に酸度が計れます。酸度計には電池が必要なデジタルの計測器もありますが、土に挿して使うことを考えると故障の心配があります。その点この電池不要のタイプは構造がシンプルで故障の心配も少ないのでおすすめです。
スプレー
スプレーは農作業や家庭菜園においてぜひとも用意しておきたい道具の一つです。
広範囲の区画で沢山の野菜に水遣りをしなければならない時にはもちろんジョウロの方が良いですが、部分的に水遣りをしたり、育苗中に幼苗に水遣りをするには便利です。
特に育苗中の水遣りについては種を播いた直後の幼苗は非常に繊細ですからスプレーの噴射の様な柔らかい水遣りが欠かせません。
セルトレイや育苗箱で育っているわずか数センチの幼苗にジョウロで水やりすればいくら優しくしても苗を傷つけたり、土を流出させてしまう事にもなりかねません。
そんなときはスプレーに水を入れてシュッシュッと霧状の水を与えればダメージを与えることなく水分を供給できます。
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