マルチングの種類
マルチングの素材には敷き藁、もみ殻、干し草、バークチップ、ウッドチップ、ポリエチレンフィルムなど様々な種類があり、コスト、用途、効果や時期に合わせて使い分けます。
敷き藁(わら)
敷き藁は昔からマルチングの素材として定番の存在で、スイカ、メロンやカボチャなどのつる性植物を中心に幅広く利用されています。
敷き藁の利点はビニール素材のマルチとは異なり、土の表面を覆いながらも適度な隙間がある事です。
ツル性の植物が藁の上を這って伸びる際に蔓がワラに絡んで安定する上に、蔓が藁の上を這う事で病原菌を含んでいる可能性がある土壌に触れる事もありません。
更に、ワラの隙間からツルの一部分が土に到達する事で土壌の肥料分を吸収する事もできます。
そして敷きワラの大きな利点といえるのが、使用後はそのまま有機物として土に還元できるもしくは肥料にもなるという事です。
ウッドチップ
ウッドチップは杉、ヒノキ、ヒバ、楠木などの針葉樹や桜などの広葉樹など様々な木材を細かく砕いた切れ端(チップ)の事で、主にガーデニングや観葉植物を育てたりするのに使用します。
ガーデニングでは庭木の周りや歩道にウッドチップを敷く事でマルチングの効果だけでなく、景観の向上も期待できます。
観葉植物を育てる場合でもインテリアとして室内に鉢植えを置くにしても植物の周りの用土の表面をウッドチップで覆えば見栄えも良くなります。
ウッドチップは雑草防止、土の保温・保湿、泥跳ね防止、土壌流出防止、土壌硬化防止、急激な温度変化の防止などマルチングの様々な効果が期待できますが、特筆すべきは自然素材で土に還る事と景観向上ではないでしょうか。
ウッドチップは要は木の切れ端ですから、環境に負担も被害もなく、時間が経てば土に還ります。
又、ガーデニングで土の表面がむき出しになっていたり、防草シートで覆う事は良くありますが、ウッドチップを敷く事で景観が抜群に良くなります。
更に、防草シートの上にウッドチップを敷けば格段のマルチング効果と景観向上が得られます。
バークチップ
バークチップとは赤松や黒松など主に松の樹皮を細かく粉砕したチップ(切れ端)です。
バークチップには乾燥防止、雑草防止、泥跳ね防止、土の保温・保湿などのウッドチップと同様にマルチング効果があります。ウッドチップは木材の中身を原材料としているのに対し、バークチップは樹皮を原材料としています。
又、バークチップはウッドチップより総じて一つ一つが大きく、角ばっていないので犬などのペットが走り回るのにも安心です。
ウッドチップでも安価で加工が雑なものはペットが傷つきやすかったりするので注意が必要です。
雑草マルチ
雑草マルチとは畑・菜園で生える雑草をマルチングに活用する方法です。
雑草といっても色んな種類がありますが、雑草を抜いて株周りに敷く事でマルチングの効果を期待できるというものです。
雑草は敷き藁と同じ様に有機物で自然に還るので回収する必要もないしゴミにもなりません。
又、有機物として堆肥・肥料にもなって土壌改良効果が見込めます。
雑草マルチはその他にも過湿調整、乾燥防止、泥跳ね防止、地温上昇抑制、保温といったマルチングの効果が期待できます。
そして雑草マルチは何より入手簡単でコストがかかりません。このように雑草マルチには良いことばかりのようですが、実際には欠点もあります。
それは雑草マルチの名前通り雑草が生える可能性がある事です。雑草マルチでは除草した雑草をそのまま又は枯らしてからマルチングする事が多いのですが、この場合雑草に種が付着したままになっています。
その種が付いたままの雑草を敷けば当然雑草が生えてきます。そうなるとマルチングの一般的な利点である雑草防止の効果はなく、逆に雑草を増やしてしまう事になります。
それでも有機農業などでは天然素材、自然に還る事を重視して雑草マルチを積極的に利用する場合もあります。
雑草マルチでは本来栽培している野菜の成長を阻害しない範囲で雑草を抑制させつつ、マルチングの効果を享受するというものです。
ポリエチレンフィルム
プラスチック素材の一つであるポリエチレン(PE)を原材料としたポリエチレンフィルムはマルチングの種類の一つとして大きな位置を占めます。
ポリエチレンフィルムは防水性が高いので水は通さず、畝は植え穴以外は密閉され、地温上昇、保温、保湿、乾燥防止などの効果が期待できます。
プラスチック素材なので使用後は土に還らずゴミになるという欠点がありますが、最近では生分解性マルチといった土中微生物によって分解されて自然に還るマルチもあります。
ポリエチレンフィルムには色や素材によって色々な種類があり、用途や時期に合わせて使い分けます。
ポリエチレンフィルムを使ったマルチング、すなわちポリマルチには透明マルチ、黒マルチ、銀(シルバー)マルチ、白マルチなどがありますが、地温上昇効果が一番高いのは透明マルチです。
透明マルチは透明ですから光の透過率が高く、地温の上昇効果は抜群です。
特に気温が低くて地温が上がらない冬場や春先の使用に向いています。
しかし、透明であるが故に雑草が生えやすくなるのが難点です。
黒マルチは遮光率が高く透明マルチほど地温上昇効果はありませんが、黒色が光を吸収して夏場の地温上昇抑制に効果があります。
そして、光を通さないので雑草の抑制に役立ちます。
銀(シルバー)マルチはマルチの銀色が太陽光を乱反射させることでアブラムシやアザミウマなどの害虫が寄り付きにくくなる効果がありますが、光を反射させるので透明マルチや黒マルチほど地温上昇効果はありません。
白マルチは銀マルチと同じ様に光を反射するので害虫忌避効果がありますが、地温上昇効果は他のマルチと比べると少なくなります。
コメント