PR

連作障害について‐定義、野菜の種類、対策方法

スポンサーリンク
栽培の基本
Jpeg
記事内に広告が含まれています。

連作障害の定義

連作障害とは同じ場所で同じ作物又は同じ科の作物を続けて作る、すなわち「連作」する事によって、その作物又は科特有の病虫害が発生したり生育不良になったりすることです。

例えば、前年にスイカを作った区画に今年も又スイカを作ったりすると、病虫害が発生しやすくなったり大きく育たない場合があります。

スイカを続けて作らなくても同じウリ科のプリンスメロン、カボチャ、ズッキーニなどを作っても同様に病虫害や生育不良が発生し易くなります。

これは同じ作物又は同じ科の作物は生育に必要な肥料成分や環境条件が同じ又は似ており、続けて栽培する事で土壌中に同じ作物又は同科特有の病虫害を引き寄せたり、土壌中の特定の肥料成分や微量成分を吸収して偏りや欠乏が生じてしまう事に原因があります。

例えば、前年にスイカを作っていた区画にはスイカ特有の病虫害が発生して土壌中に残っていたり、スイカに必要な肥料成分や微量要素が十分に吸収され過ぎて今年のスイカの生育に必要な分が残っていなかったりする場合があります。

そうした場合は前年にスイカの出来が良くても今年は病害虫が発生したり生育不良になったりして全然ダメだったという事もあります。

連作障害の出易い野菜と出にくい野菜

連作障害は野菜の種類によって程度が違います。

すなわち、野菜によって連作障害が出易いものもあるし、出にくいものもあります。

連作障害の出易い野菜にはスイカ、ナス、エンドウなどで7年以上、トマトピーマン、ゴボウなどは5~6年以上、里芋、メロンなどは3~4年以上、キュウリじゃがいも、そらまめ、レタス、白菜インゲンなどは2年以上連作を避けた方が良いといわれます。

一方、連作障害の出にくい野菜には大根サツマイモ、カボチャ、人参、小松菜、玉ねぎ、ネギ、春菊、インゲン、みょうがふきなどがあり、これらは同じ場所で続けて作っても障害が出にくいといわれています。

スポンサーリンク

連作障害の対策方法

連作障害を避けるには幾つかの方法があります。

土壌管理、土壌消毒、有機物の投入、輪作、間作・混植、接木苗の導入、病虫害に抵抗性のある品種の導入、客土、深耕、天地返し、湛水、田畑輪換、青刈作物の導入などがあります。

土壌管理・・・土壌成分の診断などにより過剰又は不足する成分の適切な調整を行います。

土壌消毒・・・薬剤や透明マルチで太陽熱による土壌消毒を行います。

薬剤による消毒は土壌中の病虫害だけでなく有用な微生物も駆除してしまう場合がありますし、土壌中に薬剤が残る場合があるので注意が必要です。

一方、透明マルチならば残存薬物の心配はありません。

穴の開いていない透明マルチを土壌表面に敷いて端を止めて中を密閉空間にすれば高温状態になります。

高温状態では病虫害も死滅してしまい、綺麗な土壌として蘇る事ができます。

有機物の投入・・・土壌に堆肥などの有機物を投入する事で土壌中の微生物を増やし、土壌成分のバランスを整えたり回復を促します。

様々な種類の微生物が増える事によって特定の病虫害のみの発生を抑制する効果があると考えられています。

輪作・・・複数の作物又は複数の科の作物を畑・菜園にある複数の区画を順番に作付していく方法です。

例えば、A、B、Cの3区画があって、今年はAではナス科のじゃがいも、Bではウリ科のきゅうり、Cではマメ科のいんげんを作り、来年はAではウリ科のきゅうり、Bではマメ科のインゲン、Cではナス科のじゃがいも、そして再来年はAではマメ科のインゲン、Bではナス科のじゃがいも、Cではウリ科のキュウリを作ります。

そして再々来年はAはじゃがいも、Bはきゅうり、Cはいんげんと今年と同じに戻るというわけです。

このようにローテーションで複数の作物・科を育てる事で同科の連作を避ける事ができ、連作障害が発生しにくくなります。

接木苗の導入・・・接木苗とは病気に強い植物の根を台木として育てたい植物の芽を穂木として接ぎ合わせた苗の事です。

例えば、耐病性のあるカボチャ、冬瓜や夕顔の根をスイカの芽と接ぎ合わせたり、カボチャを台木でキュウリを穂木にしたり、赤ナスを台木、黒陽や千両二号などの品種のナスを穂木にしたりします。

カボチャは連作障害の出にくい野菜なので台木にされる事が多く、ナスでもアカナスといった連作障害の出にくいナスもあるので同科の野菜でも連作できるようになります。

耐病性品種の導入・・・耐病性品種の導入については接木苗の導入とも関連しています。

接木苗の台木には連作障害に強い品種が使われているのが通常で、連作障害に強いとは耐病性のある事とほぼ同じです。

種苗店やホームセンターにはシーズンになると野菜の苗がずらりと並んでいますが、各種苗メーカーは独自に病虫害に強い、耐病性のある品種の苗を開発しており、その大半が接木苗になっています。

耐病性のある品種を台木として、そして高品質、多収量の品種を穂木として接木苗を販売していることが多いです。

もちろん、穂木自体が高品質、多収量でありながら耐病性もあるという品種もありますが、そうした品種は当然割高になります。

客土・深耕・天地返し・・・客土とは耕す部分の土を取り除いて他から客の様に土を取り入れる、つまり土の入替です。深耕とは土壌深くまで耕して表層の土と入れ替える又は混ぜる事を指します。天地返しとは土壌の深層の土と表層の土を入れ替える事です。

湛水(たんすい)・・・畑に水を張る事で水の中で生きられない病害虫が死滅します。

米を作っている水田は潅水状態となっていますが、水田は水が張っている事で連作障害が起きないといわれています。

しかし、稲作の水田ならともかく、野菜を作る畑に丸々水を張るというのは用水路でもなければ難しいかもしれません。

田畑輪換(たはたりんかん)・・・水田と畑を数年ごとに交代する農地利用方法。

水田で水を張る事で雑草を防ぐ事ができ、水を張った水田を畑にする事で連作障害を防ぐ効果がある。

青刈作物の導入

青刈作物とは種実をつける収穫前の青いまま刈り取った作物の事です。

代表的な青刈作物にはイネ科やマメ科の作物があり、ソルゴー、トウモロコシなどがあります。

青刈作物は別名緑肥作物ともいい、成長過程では根を張る事で排水性を向上させ、漉き込んでからは茎葉が腐熟し、微生物が増加し、土壌の団粒化を促進して、通気性や保水性が改善されます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました